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2000年7月20日号

■そごう破たんでゼロ金利解除先延ばし

 日銀は、政策委員会・金融政策決定会合を開き、現在のゼロ金利政策を継続することを賛成多数で決めた。
 日銀は決定会合終了後、「本日の金融政策決定について」と題する異例の説明文を発表し、景気の現状については「緩やかに回復している」と判断。物価面も「需要の弱さに由来する潜在的な物価低下圧力は大きく後退している」として、景気認識を従来より大幅に前進させた。しかし、ゼロ金利解除の条件が完全に整ったかどうかの判断で、個人消費の回復状況などに不透明な部分が残っており「雇用・所得環境を含め、情勢判断の最終的な詰めに誤りなきを期したい」との慎重な意見が優勢となった説明した。
 併せて、そごう百貨店が民事再生法の適用を申請したことから、出席委員から「そごう破たんの問題が市場心理などに与える影響を見極めるべきだ」との発言が加わったと説明、今回、ゼロ金利解除の見送りの最大要因であったことを窺わせた。

■ゼロ金利=各界とも継続で胸なでおろす

 ゼロ金利政策の継続を決定したことについて各界の反応。日銀の専管事項に盛んに牽制球を投げかけていた政府・与党は、森首相が「現在の経済状況などを見て判断されたと承知している」。亀井政調会長は「景気回復が至上命令だ、賢明な判断だ」。公明党の冬柴幹事長は「景気回復を重視し、そごう問題を考えた結果で、良かった」とした。
 大手銀行は、債務利払いの負担増大に耐え切れない貸出先の倒産を恐れていただけに「適切な判断をしてくれた」と歓迎した。巨額な有利子負債を抱えるゼネコン各社は「遅ければ遅いほどよい」と胸をなでおろした。鉄鋼連盟は「4〜6月の経済状況の数字がまとまる9月に判断すればいい」とし、自動車業界も「個人消費が完全に軌道に乗ってから」として、各界ともゼロ金利の継続を求める姿勢を示した。
 新日銀法の下で日銀は、金融政策の独立性の確保にとらわれ、市場心理を無視してゼロ金利解除を強行する寸前まで押してきた。だが、そごう破たんで一挙に金融機関の軟弱体質が露呈したことから、あわてて「我を通す」ことを止めた形となった。
 ただ今回のどたばた劇の結果、ゼロ金利解除の方針はおおかた認知されたと解釈した日銀は、機を見て「即解除」の免罪符を開示する主導権を得たといえよう。

■消費実態=生活様式変化でIT・大型家財好調

 総務庁が発表した99年の全国消費実態調査(前回調査は5年前の94年)によると、 耐久消費財の普及率(%)は、カラーテレビ29インチ未満は88.9と前回より微減だったが、同29インチ以上の大型テレビは7.5ポイント上昇して42.3になった。電気冷蔵庫も300リットル以上は10.8ポイント増の74.4となり、家電の大型化が目立った。携帯電話は64.9に、2人以上の世帯のパソコン普及率は37.7に、ファクシミリが33.1となるなど、IT関連商品の普及率が急上昇した。そのほか、ビデオテープレコーダーが78.5、ビデオカメラが39.7となった。
 生活様式の変化に対応して、鏡台(ドレッサー)は10ポイント強も低下して73.8に、応接セットも4ポイント弱低下して28.3となった反面、洗髪洗面化粧台は45. 6に、温水洗浄便座は41.8に、ルームエアコンは84.2となるなど急伸した。

■日銀=経済月報で事実上の景気回復宣言

 日銀は7月の金融経済月報で、景気判断について、「企業収益が改善する中で、設備投資の増加が続くなど、緩やかに回復している」とし、前月の「持ち直しの動きが明確化している」との判断から、大幅に前進させた。
 設備投資の増加傾向に加え、住宅投資も、前月の「緩やかに減少している」との判断から「横ばいで推移」に上方修正した。個人消費は「回復感に乏しい状態が続いている」との判断を変えなかったが、自動車やパソコンなどの販売増加を背景に「一部指標にやや明るさがうかがえる」との表現を加えた。
 一方、先行きについては、公共投資は遠からず減少に転じるものの「情報関連などの成長分野への設備投資を中心に、今後も緩やかな回復が続く可能性が高い」と指摘し、公共事業の落ち込みを民需が補うシナリオを想定している。物価の先行きも「需要の弱さに由来する潜在的な物価低下圧力は大きく後退している」と、デフレ懸念が薄らいでいることを指摘し、前月から大きく判断を前進させた。
 日銀は、ゼロ金利解除を見送ったが、解除の条件はほぼ整っていると考えていることが、今回の月報で確認された。それ以上に、これは事実上の景気回復宣言といえる。

■経済低迷=国内型産業の生産性低下が原因

 マッキンゼー日本支社(外資系コンサルティング会社)は、日本経済の低迷の真因は「国内型産業の生産性の低さにある」との提言を発表した。
 提言は、日本経済はアメリカに比べ、労働生産性が31%低く、資本生産性は39%低いと指摘したうえで、自動車や家電など一部の輸出産業の生産性は世界最高水準にあるが、経済活動の9割を占める国内型の製造業、サービス業の生産性はアメリカの63%しかない。とくに、小売業、医療、住宅建設、食料加工の4業種の生産性は、平均するとアメリカの56%しかないと分析した。うち小売業は、日本では個人商店が雇用者ベースで55%を占めているが、アメリカの19%、フランスの26%と比べて、圧倒的に割合が高くなっていると、小売の零細化が生産性低下の原因とした。
 生産性を高めるには、規制緩和だけでなく、零細小売店が市場から撤退しやすくするような税制上の優遇など、市場原理を徹底させる政策面での取り組みが重要と強調した。従って、生産性の向上から派生する失業は、長期的な失業には結びつかず、医療分野などで新規雇用が創出されて、国民全体の消費量も増えていくと指摘した。
 現在、日本政府が行っている財政支出などの景気刺激策も、生産性そのものが根本的に改善しない限り、今後も日本経済の低迷は続くと予想した。その上で、生産性向上が実現すれば、今後10年で、年平均4%の成長も可能だと結論した。

■中小企業分=政府調達契約目標過去最高に

 政府は、特殊法人を含めた政府機関が2000年度に、民間企業から調達する物品やサービス(官公需)について、中小企業との契約目標を、当初予算ベースで過去最高の約5兆3170億円とし、契約全体に占める比率も過去最高の44.1%とすることを閣議決定した。中小企業基本法で中小企業の定義が拡大され対象企業が増えたことや多くの中小企業が依然として厳しい経営状況に置かれていることを考慮した。

2000年7月5日号

■完全失業率好転 IT 介護で求人増

 総務庁が発表した5月の完全失業率は4.6%で、前月より0.2ポイント低下し、2か月連続で好転した。完全失業者数は、前年同月比6万人減の328万人と、97年4月以来、3年1か月ぶりに前年実績を下回った。
 とくに男性の完全失業率は4.6%で前月に比べ0.4ポイント低下した。男性の失業者数も前年同月比11万人減の196万人で、35か月ぶりにマイナスとなるなど、男性の改善ぶりが目立った。さらに、非自発的離職者も前年同月比5万人減の101万人と、3か月連続で前年実績を下回った。このことから、政府筋は、IT関連や介護・医療分野での新規求人の増加などを挙げて、「最悪期を脱したとは言えないが、局面に変化が出ている」と分析した。
 労働省が発表した5月の有効求人倍率は、前月と同水準の0.56倍であるが、求人・求職者とも増加した。産業別では、介護・医療、福祉などを含むサービス業が前年同月比39.9%増、IT関連の電機製造業が同35.2%、運輸・通信業が同26.7%、さらに建設業も同12.8%増と増加に転じるなど、主要産業が軒並みプラスとなった。

■SS5年連続減 小売価値上 OPEC増産

 全国のガソリンスタンド(SS)の数は00年3月末現在、1年前に比べ1291か所減って5万5153か所となり、95年3月末のピーク時から5年連続で減少した。
 調査した通産省・資源エネルギー庁は、安売り合戦などの過当競争が続いた結果、販売業者が利益の上がらないSSを閉鎖する例が相次いでいることや、石油元売り会社が新規の建設を手控えていることなどが主な理由だとした。都道府県別では、東京都が101か所と最も多く、愛知県の88か所など44都道府県で減少した。
 一方、石油情報センターは6月19日現在、レギュラーガソリンの全国平均小売価格が、前週より1円値上がりして1リットルあたり101円となったと発表した。
 ガソリン小売価格が101円となったのは、97年10月以来約2年8か月ぶりだ。原油価格は4月中旬以降、再び上昇基調に転じ、石油元売り各社が6月から卸売価格を値上げしたためと見られている。
 石油輸出国機構(OPEC)は、ウイーンで臨時総会を開き、原油価格が高騰を続け、OPECが3月に合意した1バーレル=あたり22〜28ドルの目標価格帯をすでに上回っていることから、7月1日付で原油の生産枠を日量約70万バーレル拡大する増産に踏み切ることを決めた。ただ、増産の規模は、市場が事前に予想していた日量50万〜100万バーレルの範囲内でも最も低い水準で決定されたため、原油市況がすぐに落ち着きを取り戻すこととはならないとの見方が大方だ。

■出生率最低 未婚者増が原因?

 厚生省の99年人口動態統計によると、昨年1年間の出生数は117万7000人余で、前年より約2万5000人の大幅減。合計特殊出生率(女性が一生の間に産む子供の平均数)も前年の1.38から1.34まで低下。ともに過去最低を記録した。
 自殺者は3万1385人で過去最高となった前年より微減した。離婚件数は25万538組で、過去最高だった前年より7300組余り増えた。

■日銀6月短観=大企業製造業の景況大幅改善

 日銀が発表した6月の短観によると、大企業・製造業の業況判断指数はプラス3となり、前回3月短観のマイナス9に比べ、12ポイントの大幅な改善となった。大企業・製造業のプラスは、1997年9月以来、2年9か月ぶりのプラス転換で、しかも市場の予測を上回る大幅な改善となった。
 大企業・非製造業の業況判断指数はマイナス12で、前回より4ポイント改善した。
 中小企業・製造業はマイナス21と5ポイント改善した。それぞれ6期連続して改善した。唯一前回横ばいだった同・非製造業はマイナス27で1ポイント改善した。
 今年度の設備投資計画では、大企業・製造業が前年度比11.3%増で、6月時点では90年度以来の大幅なプラスとなった。

■ゼロ金利解除17日の会合に注目

 日銀は、1年半近く続けてきた異常事態下の非常事態としている「ゼロ金利政策」を、17日の政策委員会・金融政策決定会合で、解除するかもしれない。
 日銀は、解除の条件として「デフレ懸念の払しょくが展望できるような情勢になる」を挙げていた。今回の6月短観の結果、企業の収益状況、設備投資の改善が3月調査時より一段と増したことから、企業部門の着実な回復が裏付けられ、民間需要の自立回復の道筋が開けたと解釈されるからだ。すでに金融市場では、9月までの解除は確実で、短期市場金利の誘導目標を0.25%に引き上げるとの見方を強めている。
 ただし政府側は、沖縄サミットを控え、参加国が揃って(うち米国は強力に)解除に懸念を示していることや追加景気対策が財政難から打ち出せなく、ゼロ金利に頼っている状態であるため、宮沢蔵相は「大企業は良かったが、中小企業にはまだ浸透していない。経済全体では消費の動向が大事だ」と、ゼロ金利解除には家計部門の動きを注視する必要があるとした。堺屋経企庁長官も「景気の改善は一段と強まっている。ただ、雇用、所得、消費を考えると十分安心できる状態ではない」と、解除は時期尚早との考えを示した。日銀としては、異常な事態の早期解消を願っているし、政治に引っ張られない独自性を示したいとの意地もある。選挙後の自前内閣の発足に、強力な指導力を発揮できなかった森政権が、党内や国会内での事態収拾にかまけているスキに、日銀はゼロ金利解除を決めるかもしれない。

■2000年予想=粗鋼生産1億トン回復3年ぶり

 通産省は、2000年の国内粗鋼生産量が3年ぶりに1億トンの大台を回復するとの見通しを発表した。
 アジア向け鋼材輸出が好調なことに加え、国内需要もIT対応の工場やビルなどの建設投資にけん引される形で回復してきたためと説明した。今年7〜9月の粗鋼生産見通しは前年同期比9.6%増の2650万トンとなり、今年1〜9月累計の粗鋼生産量は7861万トンに達する見込みと試算したうえで、「年内はアジア向け輸出が高水準で推移するとみられるので、1億トンは軽くクリアするだろう」とした。
 ただし、2000年度(2000年4月〜2001年3月)の年度ベースの粗鋼生産量は、来年1〜3月に輸出が落ち込む可能性があり1億トン回復は微妙とした。

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