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2000年9月20日号

■増産決定後も原油急上昇 G7で論議の中心に

 石油輸出国機構(OPEC)は10日ウィーンで総会を開き、原油の生産枠を日量80万バーレル拡大することで合意した。しかし、増産直後の11日にはNYの原油先物相場は急上昇し、WTIの価格が1バーレル=35.14ドルと再び35ドル台をつけて終了した。その後も15日に一時、WTIの価格は1バーレル=36.00ドルと、湾岸戦争直前の1990年10月以来、約10年ぶりに36ドル台をつけた。さらに18日、イラクとクウェートが原油の採掘をめぐって対立、中東情勢が緊張していることが買い材料となって、一時WTIの価格は1バーレル=37.15ドルと、ついに37ドルを突破した。
 OPECの増産決定後も相場の騰勢が衰えていないため、米政府が備蓄用の石油を取り崩す以外には相場を落ち着かせる手段はないのではないかとの見方が浮上した。

■ユーロ安・原油高騰=世界経済の波乱要因

 欧州中央銀行(ECB)は14日、外貨準備のうち25億ユーロ(約2300億円)相当分を売り、ユーロを買うオペレーションを実施すると発表した。
 ユーロが主要通貨に対する史上最安値を更新し続けているなか、突然の外貨準備の市場放出によるユーロ買いについて、ECBは「市場介入ではない」と強調している。
ただし、14日のロンドン外為市場で正午(日本時間午後8時)、前日比0.0050ドルのドル安・ユーロ高の0.8685〜0.8695ドルで取引され、ユーロは小反発した。
 週明け後の18日東京外為では、最安値を更新したユーロの対ドル相場はやや戻したものの、午前11時過ぎユーロは15日のNY市場でつけた安値0.8525ドルを下回り、0.8520ドルを割り込んで推移した。
 「25億ユーロの疑似介入では市場の追随はない」との指摘する声も出るなか、週末のG7での協議に合わせて、ECBは本格的協調介入を試みるとみられている。

■9月月例報告=「自律的回復続く」判断据え置き

 堺屋経企庁長官は、9月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出し、景気の現状認識を示す総括判断では「企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが続いている」と、6月からの認識を4か月連続で踏襲した。
主要項目では、公共投資は「前年に比べて低調」との見方を示したほか、民間設備投資も、情報技術関連以外の業種への広がりがなく、7月の機械受注が前年同月比で3か月ぶりにマイナスに転じたことから、見方をやや下方に修正した。一方、企業収益は、法人企業統計で4〜6月期に企業の経常利益が前年同期比40.2%増加したことから「大幅な改善が続いている」として、見方を上方に修正しものの、総合的な判断は変えなかった。個人消費は、猛暑で清涼飲料、ビール、エアコンなどは売れたが、その他の消費が抑制され、消費を押し上げるまでは行かなかったとして「おおむね横ばいの状態が続いている」との前月までの判断を変えなかった。
 先に発表した2000年4〜6月期のGDP(国内総生産)は、前期比1.0%増のプラス成長となり、2/四半期連続のプラス成長となったが、その際、堺屋長官は会見で「景気は離陸して上昇中だが、機内でくつろいで、飲み物が出されるには、まだ時間がかかる」と、慎重な見方を示していた答えを、月例報告に盛り込んだようだ。

■成長率=政府見通しを上回る2%前後予測

 民間金融系調査機関は、2000年度の経済見通しの改定値をそろって発表した。発表した13機関は、GDP(国内総生産)の伸び率を1.5%(住友生命総合研究所)から2.8%(大和総研)とし、すべての機関が政府見通しの1%を上回ると予測した。
成長率が2%に届かないとしたのは、住友生命のほか、東京三菱1.8、三和、さくら、三菱の各総合研究所の1.9などの5機関。そのほかの8機関(大和総研の2.8をトップに、ニッセイは2.7、第一生命は2.5、富士、日債銀、住友信託が2.4、野村が2.3、日本が2.2などの各総合研究所)は、情報技術関連の需要を背景にした設備投資と個人消費による民間需要の回復が顕著になるとした。そのうえで、2000年度下期には公共投資が減速するが、民需主導で景気は回復軌道に乗ると予測した。

■世界のビール=東京ドーム110杯分生産

 1999年の世界主要164か国のビール生産量は、前年に比べて2.8%増加して1億3650キロリットルで、東京ドーム110杯分を生産したという。(キリンビール調査)
 地域別では、欧州が4.9%増、アジアが4.0%増と高い伸びを示した。国別では、上位5位は米国、中国、ドイツ、ブラジル、日本の順で変わらなかった。うち、中国の伸びは5.6%増と大きく、さらに8位のロシアは27.2%増と高い伸びを示した。
 一方、猛暑効果で需要回復を期待した国内大手ビールメーカー5社の8月のビールと発泡酒の総出荷量は、前年同月比0.8%増の4979万7000ケース(大瓶20本換算)と微増にとどまった。内訳はビール2.0%減、発泡酒13.1%増。
 メーカー別では、アサヒは4.2%増(スパードライが4.2%増と8月としては過去最高の出荷量を記録)、サントリーも8.7%増(発泡酒マグナムドライが33%増、麦芽100%の生ビールのモルツが好調)と、2社は前年実績を上回った。一方、キリンは2.5%減 (発泡酒の淡麗は14.4%増だったが、ラガーが12.5%減、一番搾りが1.6%減とビールが低迷) となった。サッポロは、発泡酒の新製品は好調だったが、黒ラベル、グランドビアが低迷したことが響き、全体で2.1%減と振るわなかった。

■今年度計画=設備投資4年ぶりに7.6%増

 日本政策投資銀行が発表した大企業の2000年度の設備投資計画額は、前年度実績に比べ全産業で7.6%増となり、96年以来4年ぶりに増加に転じた。
 調査は、金融、保険、農林業を除く資本金10億円以上の大企業3495社を対象に8月実施した。業種別では、電気機械が同34.7%増と半導体など情報技術関連向けの設備増強が見込まれたほか、自動車も同7.8%増と新型車投入への設備投資が増えるとした。結果、製造業全体では15.2%増と3年ぶりの増加となった。非製造業は、通信・情報が、携帯電話の需要増に対応するための投資で3.1%増。卸売・小売が、大規模小売店舗立地法施行を前に駆け込み出店が増えたとして7.8%増とするなどで、非製造業全体では4.4%増と4年ぶりの増加と予測した。
 今年2月の前回調査の設備投資計画額と比べても、製造業が9.8%増、非製造業が1.1%増と増えており、全産業比も3.7%増と3年ぶりの上方修正となったことから同行は「設備投資は業種間で濃淡はあるものの、明るさを増している」と見ている。

2000年9月5日号

■今夏電力使用量最高記録更新4度目

 電気事業連合会は、瞬間的な消費電力のピークを示す最大電力が8月25日午後3時時点で、電力10社合計で1億7306万9000キロワットに達し、95年8月25日に記録したこれまでの最高の最大電力1億7113万3000キロワットを、5年ぶりに更新し、過去最高を記録したと発表した。当日は、京都府舞鶴市で最高気温38.1度を記録するなど、全国的に厳しい残暑が広がり、冷房機器の使用が増加したためで、消費電力全体の約4割が冷房需要によるものと見られる。
 この結果8月25日、全国の1日当たりの電力使用量は31億6348万4000キロワット時(電力10社合計)に達し、8月23日に記録したばかりの過去最高の電力使用量31億5578万8000キロワット時を更新した。最高記録更新はこの夏4回目。

■猛暑の経済効果GDP0.5%アップ

 富士証券は今夏の猛暑による経済効果に関するリポートをまとめ、猛暑で7〜9月期の実質個人消費は0.9%、実質GDP(国内総生産)は0.5%それぞれ押し上げられると試算した。
 富士証券の調査によると、猛暑になると、夏物商品の消費や電力消費などが増えるが、他方、暑さが客足を遠のかせ、百貨店販売額が減るなどのマイナス効果もある。こうしたプラス、マイナスを加味して過去の猛暑の夏の消費動向を調べた。6〜8月の東京の平均気温が90年代の平均25.1度より1度上昇すると、7〜9月の実質個人消費を1.5%程度増やすことが分かった。従って、このままの暑さが続けば今年6〜8月の東京の平均気温は、90年代の平均気温を0.6度程度上回ることが見込まれるため、個人消費は0.9%押し上げられるという。

■7月=企業倒産負債総額最悪4兆円超

 帝国データーバンクは、7月の全国企業倒産(負債総額1000万円以上)件数が前年同月比21.4%増の1617件と9か月連続して前年同月を上回った。負債総額は4兆2643億2100万円と、月間で初めて4兆円を突破して、99年3月の3兆1835億2200万円を抜いて戦後最悪を記録したと発表した。
 負債総額が最悪を記録したのは、そごうグループの負債額が関連会社を含めた28社の単純合計で2兆9220億円、西洋環境開発の負債額が5175億円にのぼったからだ。倒産件数の原因別は、販売不振や売掛金の回収難などの不況型倒産が33.3%増の1238件、金融機関の融資縮小など貸し渋り倒産は13.0%増の26件と4か月連続で前年同月を上回った。業種別では、建設業が22.2%増の496件、卸売業が29.8%増の296件、製造業が21.0%増の277件だった。

■長期金利上昇一年ぶりの高水準

 東京債券市場で9月1日、長期金利の指標となる新発十年物国債(代表銘柄)の流通利回りは一時、前日よりも0.065%高い1.960%まで上昇した。終値も前日より0.030%高い年1.925%と、99年8月30日の1.980%以来、1年ぶりの高い水準となった。「長期金利は2%に向けてさらに上昇する」との見方が強まった。

■異例=消費者物価実質2年間マイナス

 総務庁が発表した8月の東京都区部の消費者物価によると、価格変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数(1995年=100)は100.7となり、前年同月比0.8%下落した。統計上、前年同月割れは11か月連続だが、昨年9月は前年同月比が0.0%で、この時も物価が下げ止ったとは言えず、これを含めると24か月連続下落した。
 同時に発表された全国の7月の同総合指数も101.7と、前年同月比0.3%下落した。全国の消費者物価の前年同月割れは、昨年10月から10か月連続しているが、その前の5月から9月まで前年同月比が0.0%だったことから、実質的に下落傾向は25か月連続している。
 これほどの長期間の物価下落は、戦後の日本経済では経験がなく、堺屋経企庁長官は「異例の中にいる」状態だという。経企庁は主な原因として(1)バブル崩壊後の景気そのものの低迷(2)流通革命(3)規制緩和に伴う競争激化(4)円高などを挙げた。

■物価=モノ以外 サービス価格も下落

 東京都区部の消費者物価が前年水準を2年間も下回っているのは、モノ以外の値段である「サービス価格」の下落が大きな要因だと言われ始めた。
 とくに目立つのは、ゴルフプレイ料金、家賃、大工の手間賃などだという。
ゴルフプレイ料金は、夏期料金の割引幅が拡大したうえ、インターネットによるゴルフ場のオンライン予約の広がり(全国140か所のゴルフ場の価格を比較、空き情報やオンライン予約の機能などに1日7万件近くアクセスがある)も、価格競争に拍車をかけている。このためゴルフプレイ料金は1人平均1万2400円となり、昨年7月より約2000円も値下がりした。
賃貸マンションなどの家賃は、住宅ローン減税などの影響で、持ち家の人気が高まり、賃貸マンションなどの物件に過剰感が出てきた。このため民営賃貸住宅の家賃は、3.3平方メートルあたり月8680円と前年同月より0.8%下落した。
大工の手間賃も、1日当たり1万8880円と前年同月比1.7%下落した。

■原油高騰=OPEC総会大幅増産期待するが

 原油価格の指標となる米国産標準銘柄のWTIは8月29日1バーレル=32.74ドルとなった。ドバイ原油も28日29ドル台に迫るなど、湾岸戦争時以来の高値水準となった。
 石油大手元売り各社は、コストアップ分を卸売価格に転嫁しており、末端価格が上昇した。全国のレギュラーガソリンの平均小売価格は、97年8月以来、3年ぶりに1リットル=102円までに上昇した。原油価格の動向によっては、さらにガソリン価格の上昇が予想され、大手元売りは「年内に104円台に乗せる可能性がある」という。
 一方、石油輸出国機構(OPEC)は、バスケット価格が1バーレル=28ドルを20日間連続で上回ると、日量50万バーレルの増産に踏み切る目標価格帯制度を導入しているが、8月31日現在で14日連続、この上限を突破している。欧米を中心にインフレ懸念が強まり、欧州中央銀行が利上げに踏み切るなど世界経済がひっ迫感を示すなか、注目のOPEC総会は9月10日に開催される。今年3度目となる原油の増産に踏み切るかどうか、100万バーレルまでの増産を決定できるか、世界経済は期待を寄せている。

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