|

2001年3月20日号
日銀は、政策委員会・金融政策決定会合を開き、金融機関が日銀に保有する当座預金の残高を操作目標とする量的緩和策リザーブターゲティングの導入を決定した。
今回日銀が伝統的な短期金利の水準調整から、日銀当座預金残高という<量>に着目した金融政策に転換したのは、先進諸国も未採用の事態で、異例な決断といえる。
日銀は市場に資金を供給・吸収する金融調節を通じ、金融機関が日銀に預けている当座預金の残高を目標値に近づける。具体的には直近の残高より1兆円多い5兆円を当面の目標とすることを決めた。従来、禁じ手としてきた長期国債の買い入れ増額にまで踏み込み、潤沢な資金供給を決断した。市場が必要としている以上の余剰資金が供給される結果、短期金融市場の無担保翌日物金利は通常ゼロ%近辺で推移するから事実上、ゼロ金利が復活することになる。また、今回の決定がデフレを食い止めるのが狙いである以上、日銀は量的緩和を消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ以上になり、デフレ状態が解消するまで継続するとした。
麻生太郎経済財政担当大臣は3月の月例経済報告で、景気の現状について<景気の改善に、足踏みがみられる>と景気判断を下方修正した。今回の下方修正は、99年4月を境とする景気回復局面での3回目の下方修正となった。<足踏み>と表現したのは、景気が後退局面にあった98年1月以来で、その翌月に<停滞している>と、一段と下方修正された前例があり、日本経済は岐路に立たされている。
また、物価への判断を<やや弱含み>から<弱含み>に後退させた。そのうえで、今月の話題として<デフレ>を取り上げて、デフレをめぐる定義の整理を行った。
その結果、<物価下落を伴った景気後退>というデフレ本来の定義を、<継続的な物価下落>に変更して、全国の消費者物価指数が2年連続してマイナスとなったことを踏まえ、日本経済の現状は<緩やかなデフレにある>との見解を示した。
日本経済がデフレ状態だとの認識を表明したのは、戦後初めてであり、先進諸国でデフレに陥っているのは日本だけで、国際的にも歴史的にも極めて異例な状態だ。
金融機関系シンクタンクなど主な14民間機関による2001年度の日本の実質経済成長率見通しによると、GDPの伸び率は前年度比で、大和総研と野村総合研究所の2機関は1.8%増と、政府経済見通しの1.7%を上回った。また、さくら総合研究所と日本興行銀行の2機関は1.1%増、富士総合、三和総合が1.0%増と、それぞれ1%以上の成長率を予測した。そのほかの、あさひ銀など7機関は0.9%から0.2%と、1%以下を予測した。唯一、マイナス0.2%を予測した住友生命総合研究所を加え、1%以下の成長率を予測した機関が半数を超えた。
これで、すべての機関は、昨年12月に発表した見通しを1ポイント近く下方修正したことになる。各機関とも、物価下落によるデフレ圧力の持続や米国経済の急減速で、景気をけん引してきた設備投資が鈍化して、景気後退は避けられないとした。
内閣府は、スーパーの店長など景気に敏感な人たちに聞く2月の景気ウオッチャー調査の結果を発表した。3か月前と比較した景気の現状を示す判断指数は39.6となり、1月の41.5を下回って過去最悪を更新した。
2、3か月先の景気状況を示す判断指数は、1月より1.4ポイント低下して45.3で、5か月連続して50%を割り込んだ。
内閣府は、ウオッチャーの判断から見ると<景気は徐々に減速している>と警戒感を強めている。近畿の家具小売店経営者からは、スーパーの新規出店に伴う価格競争の激化や消費者の低価格志向で<商品単価が下落しており、デフレ状態にある>と指摘されるなど、政府がデフレ認定するより先に、デフレを予感する意見も出た。
光産業技術振興協会は、光関連の電気製品の2000年度国内生産額が前年度に比べて22.9%増の7兆8155億円に達するとの見込みを発表した。
通信インフラの高速・大容量化などを背景に、光ファイバーなどの生産が順調に伸びているためだ。光ファイバーは20.3%増の2175億円、液晶などのディスプレー素子は27.2%増の1兆7000億円、光ディスク再生装置では、CD・MDプレーヤーは前年並みか生産減となるのに対し、DVDプレーヤーは約2.4倍の3000億円となりそうだと見込んだ。
また、2001年度も22.3%増加して、9兆5563億円に上ると予測した。
春闘相場に大きな影響をもつ自動車、電機、造船重機、鉄鋼の金属4業種大手の賃上げ・一時金ボーナス交渉は、14日経営側が一斉回答を始めた。
昨年ベースアップがゼロだった造船重機6社は、労組側が最終局面でスト回避の統一要求基準を600円に設定していたが、各社とも定昇・定昇分を含み6600円を回答した。業績の悪い一部メーカーの経営側が難色を示したが、昨年春闘のベアゼロ回答の脱却を目指した労組側は、昨年実績額より600円上回る回答を得た。
自動車大手は、業績による格差が目立ち、トヨタが7600円、ホンダが7400円と、それぞれ昨年実績を100円上回った。日産は定昇込みで昨年実績を500円上回る7000円と回答した。一時金ボーナス交渉でも、トヨタ、日産が要求通りの満額回答を得た。これに対して、リコール隠しで経営不振に陥って赤字が膨らんだ三菱、5年ぶりの赤字経営となるマツダの両社の経営側はベアゼロを主張しており、交渉が続いている。
鉄鋼は、2年に1度の隔年春闘で賃上げの交渉はなかった。ただ、一時金交渉では、新日鉄が昨年より4万円増の138万円となるなど3社が増額、NKKと神戸製鋼所は昨年と同額となった。
電機大手は、前年はIT関連投資が好調で景気のけん引役を担ってきたが、年明け後、米国経済の減速による電子部品の供給過剰で、軒並み業績が悪化し、下方修正を迫られたため、ベアは3年連続で過去最低水準となる500円に据え置かれそうだ。

2001年3月5日号
日銀は、政策委員会・金融政策決定会合を開き、無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の年0.25%から年0.15%に、公定歩合を年0.35%から年0.25%にそれぞれ0.10%ずつ引き下げることを賛成多数で決め、3月1日から実施する。
日銀は2月9日に、公定歩合を年0.5%から年0.35%に引き下げ、実施した。間をおかず今回、再引下げに踏み切った背景には、アメリカの景気減速による影響が国内経済へ広がり、株式市場がバブル崩壊後の最安値を割り込むなど低迷が続いていることや1月の鉱工業生産指数が前月比3.9%減と大幅に低下したことが挙げられる。
決定会合で委員は、<日本の景気の先行きに不透明感が強まっている>との見方でほぼ一致した。物価動向について、これまで技術革新などによる<良い下落>としてきたが、今回の会合では、需要の弱さが原因の<悪い下落>圧力が今後強まる懸念があるとの見方に傾いた。また、市場が望んでいたゼロ金利政策復帰の選択肢はなかったのかとの問いに、速水日銀総裁は<ゼロ金利政策を始めた99年2月とは情勢が全く違う。下げ幅が0.1%であっても市場には大きな影響が出ると思うし、それ以上、下げると、競争原理に背くことになる>と説明した。
経済産業省が発表した鉱工業生産動向速報で1月の生産指数は103.2と、前月比3.9%減となった。95年の水準を100とする現行基準では最大の下げ幅だった。
同省は、1月の概況判断を<生産は横ばい傾向にある>と表現、2か月連続して判断を下方修正した。昨年11月までは4か月連続で<上昇傾向>としてきたが、昨年12月には<緩やかな上昇傾向>とやや下方修正していたからだ。
業種別生産指数では、普通車・小型車など輸送用機械が前月比9.9%減、携帯電話の伸び悩み・パソコン関連部品の需要落ちなどで電気機械は3.8%減と目立った。
出荷指数は前月比3.8%減の105.2に、在庫指数は逆に同0.6%増となった。
全国中小企業団体中央会が発表した1月の中小企業月次景況調査で、好転・増加と答えた企業の割合から悪化・減少と答えた割合を引いたDI値は、景況が前年同月比5.9ポイント減、売上高が同11.9ポイント減と、それぞれ4か月連続で低下した。
景況DI値は、製造業の12業種のうち9業種で悪化した。とくに、これまで9か月連続してプラスだった電気機器が25.3ポイント減と、大幅なマイナスに転じた。
そのほか、資金繰りは5か月連続悪化、設備操業度と雇用人員は3か月連続で減少した。また、収益状況は2か月ぶりに低下した。
同会は、米国景気の減速、アジアからの輸入増、取引先からのコストダウン要請などに、株価低迷が重なって、中小企業の先行き不安感は増大していると分析した。
総務庁が発表した2月の東京都区部の消費者物価指数は、物価変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数(速報値、95年=100)が99.9となり、前月比0.4%下落した。これで連続17か月マイナスとなり最長記録を更新した。また、前年同月比では1.1%下落し、調査開始した71年以降、過去最大の下げ幅を記録した。
同指数が現行基準の100を割り込むのは、消費税率引き上げ直前の97年2月以来で、4年前の水準にまで下落した。
項目別は、被服・はき物と家賃がともに2.0%減、電話代など通信費が6.1%減、ゴルフや宿泊代など教養娯楽サービスも1.5%減と落ち込んだ。
内閣府は、下落幅が過去最大となったことについて<主要因となった繊維製品の下落はバーゲン時期などの影響を受けやすく、物価の基調変化を示すものではない>として、従来の<やや弱含み>との判断を維持した。
経済産業省は1月の商業販売統計速報を発表した。それによると、小売業の販売額は前年同月比1.2%増の10兆5950億円となり、消費税率引き上げ直前の駆け込み需要があった97年3月以来、46か月ぶりのプラスとなった。
1月の平均気温は前年同月より2.5度低く、灯油など燃料小売業は同17.6%増となったほか、高級自動車が好調で自動車小売業も同11.7%増となった。
卸売業は同3.0%増と4か月連続のプラスとなり、卸・小売りを合わせた全体では2.5%増だった。同省は、要因が寒波による暖房費の増加にあることから<消費構造自体が上向いてきたわけではない。2月もプラスになるかどうか不透明>とした。
中国政府の国家統計局が発表した2000年のGDP(国内総生産)は、経済成長率が8%に到達し、8兆9404億元(1元=約14円)に上った。99年の成長率は7.1%で、92年の14.2%以来の減速傾向に歯止めがかかり、上昇に転じた。
輸出入総額は前年比31.5%増の4743億ドルとなった。輸出は同27.8%増、輸入は同35.8%増加した。また、昨年末の外貨準備高は年初比109億ドル増加して1656億ドルとなった。
都市住民の可処分所得は6.4%増だったのに対し、農村住民の同所得は2.1%増にとどまり、都市と農村の所得格差が拡大した。

|