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2002年5月20日号
竹中平蔵経済財政担当相は、5月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気認識を示す基調判断を「景気は依然厳しい状況にあるが、底入れしている」とし、判断を3か月連続で上方修正、事実上の「景気底入れ宣言」を出した。
政府は3月の月例報告で、1年9か月ぶりに景気判断を上方修正していたが、今回は表現を「底入れ」に引き上げた。ただ「依然厳しい状況にある」との言葉は残しており、慎重な見方を崩していない。
5月の月例報告の判断では、輸出や生産が改善し、消費にも一部に底堅さがみられたことから「景気は悪化傾向に歯止めがかかった」と説明。4月の月例報告での「底入れに向けた動き」との表現を上方修正した。ただ、同時に厳しい雇用・所得環境が民間需要を下押しする懸念にも触れている。項目別では、輸出は「アジア向けを中心に増加している」とし、4月までの「下げ止まり」から一歩踏み込んだ表現を使った。生産も「下げ止まっている」と判断を強めた。設備投資は「大幅に減少」との表現を変更した。雇用情勢は「依然として厳しい」として判断を据え置いた。
内閣府が発表した1-3月期の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除く民需(主要な機械メーカーの機械受注額の動きで、設備投資の動向に6-9か月先行するとされる)は、前期比7.4%減となった。マイナスは3四半期連続。
一方、4-6月期は0.3%減となると見通した。内閣府は「年内の設備投資は低調に推移する可能性がある」とみている。
製造業は5期ぶりに増加に転じたが、金融・保険の情報化投資が一巡し、非製造業は落ち込んだ。1-3月期の受注額は、製造業が前期比で2.6%の増加。半導体製造装置を中心に電気機械が20.9%の大幅な増加となったほか、化学や一般機械も増えた。米国やアジアの景気回復で輸出関連からの機械受注が増加した。
内閣府が発表した4月の景気ウォッチャー調査は、3か月前と比べた景気の現状を示す判断指数(DI)が46.7となった。
前月よりも2.8ポイント改善し、6か月連続の上昇となった。現状判断DIを地域別に見ると、全国11地域のうち沖縄を除く10地域で上昇した。春夏物衣料や、薄型テレビなど高額家電の販売が好調に推移したことで、電気機械など輸出関連の製造業で景況感が改善した。家計・企業・雇用などすべてのDIが2か月連続で上昇した。
2-3か月先の景気を示す先行き判断DIは、前月比3.5ポイント上昇の48.3と、4か月連続して改善した。先行き判断DIは全地域で上昇しており、中でも沖縄、中国、北関東は、景気判断の分かれ目となる50を上回っている。
今回の調査で、サッカーのワールドカップに関連した回答が一部にあったが、景気への効果に対しては総じて否定的だ。地元で6試合が予定されている近畿の都市型ホテルの回答は「ほとんど集客できていない。修学旅行も今年は敬遠されて予約が入らない」と先行きへの懸念を示した。
トヨタ自動車は、2002年3月期連結決算を発表し、売上高は前期比12.5%増の15兆1612億円、営業利益は29.1%増の1兆1234億円、経常利益は14.5%増の1兆1135億円、税引き後利益が30.7%増の6158億円と、売上・利益の過去最高を記録した。
売上高が15兆円を超えたのは、日本の製造業では初めて。そのうえ、企業の業績や中長期的な業況を知るのに最も主要な指標とされる連結経常利益が1兆円の大台を突破したのは、トヨタが日本企業では初めてだ。
同時に発表された自社株買いも相当な規模となった。今回の自社株買いは最大6000億円、1億7千万株を上限とするとした。単純に計算すると、1株当り3529円の想定取得コストとなり、時価近辺であるため短期的な株価インパクトは限定的だ。しかし、将来的に1株当りの価値や資本の効率は確実に向上すると予想される。
米系格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、イタリアのユーロ建てと外貨建ての長期債格付けを「Aa3(ダブルAマイナスに相当)」から「Aa2(ダブルA)」に一段階引き上げると発表した。
欧州単一通貨ユーロ導入に伴う一連の公的債務の削減努力を評価したためだ。
これまでイタリア国債は日本国債と並んで長期債格付け(G7)の中で最低水準の格付けだった。イタリアを格上げした結果、日本は「単独最下位」となった。しかもムーディーズは日本国債を、シングルA格に引き下げる方向で現在最終調整中とされている。そうなると日本は、ほかの先進国との格差拡大は必至の情勢で、いよいよ世界経済のお荷物国と揶揄されることとなる。
製造業の残業時間の下げ止まりが鮮明になってきた。残業時間を表す所定外労働時間(季節調整済み指数)は3月まで前月比で3カ月連続して増加した。
輸出を中心に生産が持ち直し、製造業が残業時間を増やして対応しているからだ。ただし、雇用情勢の改善につながるほどの力強さはなく、当面は厳しい雇用・所得環境が続くとみられる。
所定外労働時間は1月に前月比3.5%増と、1年2か月ぶりに増加に転じた。2月と3月はいずれも0.5%増と、小幅ながら増加を続けており、悪化に歯止めがかかった。前年同月比でみても、減少幅が3月は8か月ぶりに1ケタ台に縮小した。
所定外労働時間の実数は、3月はちょうど13時間となった。2月に比べると0.3時 間増え、11か月ぶりの水準に達した。輸出の比重が高い電気機械や自動車などの業種で残業時間が増えた。

2002年5月5日号
日本工作機械工業会が発表した3月単月の受注額は、前年同月比28.8%減の590億400万円だったが、前月比では2か月連続で増加した。
とくに内需は、6か月ぶりに300億円台を回復した。不振だった電気機械、精密機械などは前月に比べて受注額を大幅に増やした。輸出は、アジア地域が好調で前年実績を上回ったが、欧米は引き続き前年の半分程度の水準にとどまった。同工業会は今年3月の受注環境については「底離れの兆しが出てきた」とした。
この結果、2001年度の工作機械受注総額は、前年度実績を29.7%下回る7007億5600万円で、前年度実績比でのマイナスは2年ぶりとなった。
昨年度の内需は31.7%減の3652億5400万円。業種別では設備更新需要が堅調な自動車と造船など輸送機械だけが前年実績を上回った。輸出は27.4%減の3355億200万円。中国とタイ、豪州など一部の国の需要はプラスとなった。
日銀は政策委員会・金融政策決定会合で、現行の量的金融緩和策を維持することを全員一致で決めた。金融機関が自由に使える手元資金を示す日銀当座預金残高の目標を10兆~15兆円程度とし、市場安定化に必要な場合には、目標にこだわらずに潤沢な資金を供給するとした。
会合では、輸出や生産の改善を背景に、景気の悪化テンポが和らいできているとの認識は確認した。しかし、個人消費や雇用など内需面の弱さは変わっていない。金融機関の不良債権問題や米国景気の回復度合いに対する不透明感も存在する。などの意見も出て、現行の緩和策を維持し、引き続き金融面から景気を下支えする必要があると判断した模様だ。
トヨタ自動車など主要自動車メーカー5社は、2001年度(2001年4月―2002年3月)の自動車生産、販売、輸出の実績をまとめた。それによると、ホンダは小型車「フィット」が大きくけん引し、国内販売が12.8%増の89万台と過去最高を記録したほか、世界生産台数も、前年度比6.8%増(269万台)と過去最高だった。赤字の欧州事業のテコ入れをしたことから、欧州での生産が同70.8%増と大幅な伸びを示した。
トヨタは国内販売が2年ぶりに前年度割れ(5.4%減)となり、国内シェア(軽自動車除く)は前年度比0.9ポイント低下の42.2%となった。しかし、海外生産は、海外工場の相次ぐ稼働により同4.6%増と過去最高を記録した。
個人消費の不振を背景に、ホンダを除く4社は国内生産・販売台数で、前年度割れするなか、一人勝ちのホンダの好調ぶりを際出させる結果となった。国内景気回復の足取りは重く、2002年度も各社は苦戦を強いられそうだ。
一方、2001年度の自動車生産実績は前年度比2.4%減の980万7492台と、1000万の大台を割り込み、2年ぶりに前年実績を下回った。
経済産業省は、3月の鉱工業生産指数(95年=100)が、輸出向け電子部品が回復したことから、前月比0.5%増の92.6となり、2か月連続して上昇したと発表した。
この結果、四半期ベースでみると、02年1~3月期は5四半期ぶりにプラスに転じたこととなり、生産が最悪期を脱しと受け取られた。しかし、経済産業省は、前月に基調判断を上方修正したばかりで「在庫調整は進んでいるが、最終需要の動きは不透明」と、判断を据え置いた。
内閣府は2002年3月末時点での耐久消費財の保有状況をまとめた。冷蔵庫や洗濯機などの家電製品の普及率が頭打ちとなる中で、パソコンは6割、携帯電話は8割の世帯が保有するなど、情報技術(IT)製品が急速に家庭に浸透してきた。
パソコン普及率は全世帯で57.2%と、1年前に比べて7.1ポイント上昇した。所得 階級別では、年収1200万円以上の世帯で84.4%の普及と、前年比6ポイント上昇した。反面、年収300万円未満では24%と、上昇幅も4ポイントにとどまっており、所得による情報格差は拡大傾向にある。
国別普及率では、日本は米国の56.5%(昨年9月時点)を初めて抜いた。その他韓国は77%、シンガポール、香港なども世帯普及率が50%を超えた。中国は全家庭の約5%に過ぎないが、接続人口ではすでに5660万人にものぼり、米国に次ぐ世界第2位、アジア太平洋地域で1位となった。
厚生労働省は厚生年金と国民年金の2000年度財政状況を発表した。それによると、 2000年度の厚生年金の総収入は30兆7000億円で、この実績に企業年金の運用代行
部分を加えた実績推計値は31兆3000億円となり、政府が1999年に作った財政計画 (33兆1000億円)を1兆8000億円下回った。
総収入のうち、保険料収入(実績)は20兆512億円と、前年度に比べ1586億円(0.8%)減少した。景気低迷で企業が人員を削減したための失業増加で、加入者が3219万人と計画より200万人余も少なくなったのが要因とされた。また、将来の年金給付に備える積立金の運用収入は4兆3067億円と、同比4219億円(8.9%)減少した。金利低下に伴い運用利回りが3.22%に下がり、政府計画の4.0%を下回ったためだ。
この結果、2004年度の次期制度改革では保険料や給付水準の見直しが焦点となる。

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