日本経済の現況 経済トピックス発信 日本経済の現況 経済トピックス発信 日本経済の現況 経済トピックス発信

2002年11月20日号

■日銀=銀行保有株買い取り29日開始

 日銀は、金融安定化策の一環として9月に打ち出していた銀行の保有株式の買い取りを、29日から始めると発表した。
 2004年9月末まで約2年間に、最大2兆円の株式を銀行から直接買い取る。大量の株式保有が大手銀行の経営を不安定にしている実態を重視、日銀が持ち合い株などの売却の受け皿になることで、株式市場の売り圧力を緩和する。
 日銀が株式買い取りの対象とするのは2002年9月末時点で中核的な自己資本を上回る株式を保有している銀行。「大半の大手銀行と一部地方銀行の十数行が対象になる見通し」という。
 対象銘柄は投資適格とされるトリプルB格以上の格付けを取得している上場企業の株式で、一行あたりの買い取り上限は5000億円をメドとする。買い取った後は2007年9月末までは保有し、その後、市場動向を見ながら売却する方針。

■月例報告=1年ぶり景気判断下方修正

 竹中平蔵経済財政・金融担当相は、11月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気は「持ち直しているものの、テンポは緩やか」とし、基調判断を1年ぶりに下方修正した。
 基調判断は、輸出が弱含み、生産の伸びも鈍化し、実際の足元の景気が停滞しており、先行き不安が強まったことから、「引き続き持ち直しに向けた動きがみられるものの、そのテンポはさらに緩やかになっている」と表現した。
 けん引役の輸出の伸びに陰りが出始めた8月以降も、政府は判断を3か月連続で据え置いていたが、ここにきてようやく下方修正した。内閣府では、基調判断の表現は大きく変えず「景気が上向きという認識は同じだが、その角度が緩やかになった」と説明した。
 記者会見した竹中経財・金融相も「より一層の注意が必要だ」と強調したうえで、今年度の補正予算に関して「慎重かつ柔軟に検討していきたい」との考えを示した。

■7-9月期GDP=3期連続プラス成長

 内閣府は、7-9月期の国内総生産(GDP、速報値)が物価変動の影響を除く実質で、前期比0.7%増、年率換算では3.0%増になったと発表した。
 景気は2002年1-3月期を底に、個人消費の回復や民間在庫品の増加で3・四半期連続のプラス成長と、緩やかな回復を続けていることが確認された。しかし、4-6月期まで景気をけん引してきた輸出の伸びは0.5%増と、鈍化しており、景気の回復力は弱く、経済の先行きに対する不透明感が増している。
 GDPの推計方式の見直しで、成長率は過去にさかのぼって改定された。1-3月期の実質成長率はプラス0.2%に、4-6月期は同1.0%にそれぞれ上方修正された。
 7-9月期の名目ベースのGDPは前期比0.3%増、年率換算1.1%増だった。名目成長率も1-3月期以降がプラスに修正され、3期連続のプラスとなったが、デフレに歯止めがかからず、名目成長率が実質を下回る「名実逆転」は変わっていない。名目GDPの規模(季節調整値)は約497兆円で、500兆円の大台を割り込んだ。

■赤字申告額過去最大・黒字企業5割割れ

 国税庁は、2001事務年度・今年6月までの1年間に、全国の資本金1億円以上の大企業約3万7000社のうち51%が赤字申告し、赤字総額は前年度比38.3%増の16兆5712億円と、過去最大になったと発表した。
 2001年度に税務申告した大企業は3万7577社で、申告所得総額は23兆2859億円と前年度より19.0%減り、申告税額も6兆1324億円と同21.3%少なかった。黒字申告した割合は48.6%と2年ぶりに50%を割り、1998年度の47.9%に次ぐ低さだった。
 赤字申告総額は前年度より約4兆6000億円増加。現在の統計基準となった76年度以降で、これまで最大だった98年度の約15兆8000億円を上回った。

■TOPIX=バブル後最安値を連日更新

 14日の東京株式市場は、景気の先行きに対する不安感や金融危機再燃を懸念する見方が広がって、4大金融グループが売り込まれるなど、全面安となった。日経平均株価の終値は前日比135円13銭安の8303円39銭と続落。1983年3月25日以来、19年8か月ぶりの安値水準に落ち込み、バブル崩壊後の最安値を2日連続で更新して取引を終了した。
 また、東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は18日、大手銀行株を中心に幅広い銘柄が売られ、ほぼ全面安となり、前週末比15.5ポイント安の823.84と反落し、14日のバブル崩壊後の安値823.89を更新した。さらに19日の東京株式市場で、一時、前日終値比15.69ポイント低い808.15と、10月10日につけた取引時間中のバブル経済崩壊後の最安値(814.70)を更新した。その後、やや買い戻されたものの、同6.75ポイント低い817.09で取引を終え、終値でもバブル崩壊後の最安値を更新した。第一部の出来高は約9億2000万株だった。

■郵政公社=経営規模民間最大手の3倍

 郵政事業庁は、来年4月に発足する日本郵政公社の2006年度末までの経営規模は郵便貯金残高200兆円台、簡易保険の資金量100兆円台となり、それぞれ国内民間金融機関最大手の約3倍の規模を維持するとの予測をまとめた。
 定額貯金の大量満期などで郵貯残高や簡保資金量は若干の減少が見込まれるものの、民業圧迫懸念は消えそうにない。
 同庁は経営予測を11日の日本郵政公社設立会議(座長・奥田碩日本経団連会長)に提出する。設立会議はそれをもとに、郵政公社の中期経営目標・計画(4年間)を策定する。

2002年11月5日号

■不良債権04年度に半減・産業再生と一体

 政府・与党は10月30日、政府・与党政策懇談会と経済財政諮問会議を開き、金融システム安定化策を含めた総合デフレ対策を決定した。
 銀行の不良債権処理の加速に向けて貸出債権の査定方法の強化を打ち出し、自己資本が不足する銀行に、必要に応じて預金保険法に基づいて公的資金を注入する。
 再生可能な企業の受け皿となる「産業再生機構」(仮称)を官民出資で創設し、産業の再編や事業の早期再生を促す。
 不良債権処理と産業再生を一体で進め、2004年度までに主要行の貸出債権に対する不良債権比率を現状(8.4%)の半分程度に低下させ、不良債権問題の終結を目指す。
 先行減税の実施、雇用対策や中小企業対策等を掲げ、安全網(セーフティーネット)の拡充を図るなど、デフレ圧力の緩和策も盛り込んだ。
 焦点となっていた銀行の自己資本算定ルールの変更に関しては、具体的な時期を明示しなかったが、11月中に不良債権処理加速に必要な措置の整備手順を示す「工程表」を作るとした。結果、与党や銀行業界の反対で、当初検討していた強硬路線は、軌道修正を余儀なくされ、自己資本算定ルールの変更は先送りされた。
 一方、日本銀行も同日の政策決定会合で追加の金融緩和策を決定、政府・日銀一体となってデフレの克服を急ぎ、デフレ解消に取り組む姿勢を示した。日本銀行は早速翌31日の金融調節で、量的緩和の目安としている日銀当座預金の残高を前日より約1兆円増額、約16兆2000億円とした。
 補正予算編成については、「金融・経済情勢に応じて、大胆かつ柔軟な政策運営を行う」との表現を盛り込むことで与党側の了解を得た。

■日銀=来年度GDPプラス成長を予想

 日銀が公表した「経済・物価の将来展望とリスク評価」によると、2003年度の実質GDP(国内総生産)伸び率の「大勢見通し」は、前年度比0.4~1.0%のプラス成長を予想した。
 輸出と生産の伸びを背景に、設備投資の回復や個人消費の底堅さが増すとの判断による。ただ、不良債権の処理速度によっては「経済情勢の展開は異なってくる」とし、先行きに対し警戒感を示した。

■9月サラリーマン消費支出実質4.1%増

 総務省が発表した9月の勤労者(サラリーマン)世帯の家計調査によると、1世帯あたりの消費支出は32万2796円となり、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比4.1%増加した。前年同月を上回るのは2か月ぶり。また実際に支払った金額を表す名目では3.2%増加した。
 消費支出を費目別にみると、消費を最も押し上げたのは交通・通信で、実質14.3%増となった。税金や社会保険料の支払いなど非消費支出を実収入から差し引いた可処分所得は実質1.2%減少した。
 同時に発表した7-9月期の勤労者世帯の消費支出(月平均)は33万1390円で、前年同期に比べ実質で1.7%増加した。

■ネット販売=欧州が初めて北米を上回る

 米調査会社ガートナーによると、クリスマス商戦を含む10-12月に、欧州のインターネット販売は前年同期比74%増の157億7000万ドル(約1兆9500億円)に急伸し、北米(156億6000万ドル)を初めて上回る見通しだ。
 北米は市場の成熟化が進み、新規ネット利用者の増加ペースが鈍化しているのが逆転の背景という。地域別の利用者数も欧州が1億8500万人で、北米の1億8300万人を上回る。10-12月に世界全体のネット販売は382億ドルの予想。北米の伸び率は32%と欧州に及ばない。欧州の急伸は「カタログ通販の顧客がネットに移行している」ことも一因という。
 日本は37%増の19億3000万ドル。日本を除くアジア・太平洋では中国とインドの利用者数が急増するが、所得が低い15-25歳が多数を占め、消費額は33億2000万ドルにとどまる。

■上半期=貿易黒字2期連続増・対アジア好調

 財務省が発表した2000年度上半期(4-9月)の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出から輸入を引いた貿易黒字(出超額)は、前年同期比56.8%増の5兆1213億円となり、半期ベースで2期連続して前年を上回った。
 世界経済の緩やかな回復を背景に、アジア向けを中心に輸出が伸びたうえ、内需低迷で石油製品などの輸入が減少したためだ。輸出は、自動車、半導体等電子部品などが好調で、同6.5%増の25兆8985億円と、3期ぶりに増加した。一方、輸入は原油などが落ち込んだため、同1.3%減の20兆7772億円で、2期連続の減少となった。
 地域別では、対アジア輸出が同14.9%増の11兆3843億円で、過去最高だった。電子部品、鉄鋼、自動車などが増加した。国別では中国、韓国、台湾向けの輸出が伸びたことが目立った。輸入は同0.9%増の9兆70億円だった。対アメリカでは、輸出は同0.5%減の7兆2650億円、輸入は同3.9%減の3兆6768億円だった。貿易黒字は同3.1%増の3兆5882億円となり、3期ぶりの増加に転じた。
 財務省が同時に発表した今年9月の貿易黒字は、前年同月比1.1%増の1兆546億円となり、7か月連続で増加した。

■光ファイバー・やっと10万回線突破

 総務省は9月末の光ファイバーの加入者数が、前月末から1万5000回線増加して、11万4000回線になったと発表した。10万回線を突破したものの、政府の「e-Japan」重点計画の予測(世帯数ベースで2002年度末97万世帯)を大きく下回るペースで、加入の伸び悩みが鮮明になっている。
 光ファイバーは、超高速でインターネットの常時接続ができ、安定性にも優れている。しかし、自宅まで引き込む工事費が数万円かかるうえ、利用料の水準も、電話回線を利用するADSL(非対称デジタル加入者線)より高いため、需要が拡大していない。
 一方、DSL(デジタル加入者線)は、前月末から30万7000回線増加して、422万3000回線に達した。

BACK   HOME   INDEX   NEXT