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2006年3月20日号

■早期利上げ観測けん制・ゼロ金利維持強調

 日本銀行の福井俊彦総裁は参院財政金融委員会で、ゼロ金利解除について「まだ量的緩和の枠組みに終止符を打った直後なので、論じるにはあまりに早すぎる」と述べ、議論するのは時期尚早との認識を示した。
 日銀が今月9日に約5年間続けた量的緩和策を解除して以来、市場はゼロ金利の早期解除を織り込み、長期金利が上昇傾向となっているため、過熱気味の市場を沈静化させることを狙った発言とみられる。

■大手銀行定期預金金利5年ぶり引き上げ

 三菱東京UFJ銀行は、1年以上の定期預金の金利を約5年ぶりに引き上げると発表した。住友信託銀行も一部の預金商品の金利を引き上げる。
 日本銀行による金融の量的緩和策解除を受けて、市場の長期金利が上昇しているためで、いずれも週明けの20日の預け入れ分から適用する。
 三菱東京UFJ銀行の主な定期預金の金利は、1年物のスーパー定期(300万円未満)が年0.03%から年0.06%に、3年物が年0.07%から年0.15%に、5年物が年0.10%から年0.23%となる。300万円以上のスーパー定期預金や大口定期預金などの1年物以上の金利も上げる。短期金利は超低金利が続いているため、普通預金や1年未満の定期預金の金利は据え置く。
 住友信託銀行も預金の一部を年金として受け取る「季節のたより」という金融商品で、7年物の金利を年0.50%から年0.70%に、10年物は年0.80%から年1.00%に引き上げる。

■リース料率一段高OA機器0.02-0.03%

 ダイヤモンドリース、住商リースなどリース会社が企業に提示するリース料率(物件の総額に対し顧客企業が毎月支払う料金の割合)が一段と上昇した。
 算定の指標となる長期プライムレート(最優遇貸出金利)の上昇が背景だ。日銀が早期にゼロ金利を解除するとの観測もあって長期金利の上げ圧力は強く、リース料率の先高観も強まった。
 大手リース会社の企業向けリース料率は現在、パソコンなどのOA機器(5年契約、物件総額1000万円・貸し倒れリスクプレミアム含む)で1.98―2.04%。3月に入って0.02―0.03%上昇した。昨年10月に1年ぶりに上昇に転じた後、この2月末までに0.02%程度上乗せしていた。

■1月貿易収支原油高騰で23年ぶり赤字

 財務省が発表した1月の国際収支で、海外とのモノやサービスの取引などを示す経常収支は7191億円の黒字となった。うち、モノの取引を示す貿易収支は、輸入(4兆9732億円)が輸出(4兆7639億円)を上回り、2094億円の赤字に転じた。
 貿易収支の赤字は、統計上、比較可能な1985年1月以降で初めて。赤字に転落は1983年1月以来23年ぶりだ。原油価格の高騰で輸入額が拡大し、輸出額を上回ったほか、季節要因も影響した。2月以降は、輸出が堅調で黒字回復するとの見方が強い。

■SB=1兆7500億円でボーダフォン買収

 ソフトバンクの孫正義社長は、携帯電話で国内3位のボーダフォン日本法人を買収することで、英ボーダフォン本社と合意したと発表した。子会社を通じてボーダフォン日本法人の株式97.7%を、1-2か月以内に約1兆7500億円で取得する。日本では過去最大の買収案件となる。
 ソフトバンクは買収で既に展開している固定電話に加え、携帯電話サービスも提供する総合通信企業となり、NTTドコモとKDDIの2強を追撃する。ソフトバンクは携帯電話事業への新規参入を計画していたが、孫社長は会見で「買収で早期に携帯事業に本格参入できる」と指摘。携帯会社を変えても番号はそのまま使える「番号持ち運び制度」が始まる11月までに携帯市場に参入するメリットを強調した。

■USEN=LD支援・フジ保有株95億円で

 有線放送大手USENは、ライブドアの経営再建を支援するため、同社と資本・業務提携すると発表した。フジテレビが保有するライブドア株12.75%を同社長が約95億円で取得。USENが展開するインターネットでの無料動画配信サービス「GyaO(ギャオ)」と、ライブドアのポータル(玄関)サイトを連動させ、顧客基盤を強化する。
 宇野社長は会見で「ギャオとライブドアのサイトが手を結ぶことで集客能力が高まる」と強調。同席した平松庚三ライブドア社長は「われわれが最も望んだパートナーだった」と述べ、同社からUSENに支援を要請したことを明らかにした。
 一方、フジはライブドア株式の売却で発生する損失345億円を2006年3月期決算に計上。連結最終利益予想を238億円から100億円に大幅下方修正した。フジはライブドアに対し、株売却損の損害賠償請求訴訟に踏み切る。

■世界一の金持ちゲイツ氏12年連続1位

 米経済誌フォーブスが発表した2006年版の世界長者番付で、米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が資産総額500億ドル(約5兆9000億円)となり、12年連続で1位だった。2位は米著名投資家のウォーレン・バフェット氏(420億ドル・約5兆円)、3位はメキシコの企業家カルロス・スリム氏(300億ドル)だった。世界の鉄鋼再編をリードするミッタル・スチール(オランダ)会長のラクシュミ・ミッタル氏(235億ドル)は5位に入った。
 日本人は上位100位には入れず、トップは107位の武富士前会長の武井保雄氏(54億ドル、一族含む)で、次いでSANKYO会長の毒島氏(109位)、サントリー社長の佐治氏(133位)、森トラスト社長の森氏(136位)、新日本観光会長の糸山氏(154位)、ファーストリテイリング社長の柳井氏(154位)、ソフトバンク社長の孫氏(221位)、楽天社長の三木谷氏(224位)など。
 資産10億ドル以上の富豪は、全体で前年より102人多い793人、総資産合計は前年比18%増の2兆6000億ドルで、世界的な好景気を反映する結果となった。うち、国別の富豪の数ではアメリカが371人でトップ、2位はドイツの55人で、日本は27人だった。

 

2006年3月5日号

■消費者物価0.5%上昇・緩和解除へ追風

 総務省が3日発表した1月の全国の消費者物価指数(CPI、2000年=100、生鮮食品を除く総合)は97.7と、前年同月比0.5%の大幅な上昇となった。
 上昇は3か月連続、上昇率は1998年3月以来、7年10か月ぶりの高い伸びで、これで4か月連続ゼロ%以上となった。デフレ基調の脱却に向けて弾みがついた形で、日銀による量的緩和政策の解除に向けた条件が整いつつある。
 消費者物価指数は景気低迷を背景に98年7月から下落基調が定着し、年度では2 004年度まで7年連続マイナスで推移していた。05年10月に前年同月と同水準まで持ち直し、11月と12月はいずれも0.1%のプラスだった。
 日本銀行の執行部は3月8、9日の政策委員会・金融政策決定会合で、金融の量的緩和策の解除を提案する方向で最終調整に入る。

■金利政策復帰で難局乗りきる自信示すか

 日銀は8、9両日開く政策委員会・金融政策決定会合で、量的緩和政策の解除に向けて検討に入る方針を固めた。
 量的緩和の解除について、日銀は、*CPIが安定的にゼロ%以上になる。*先行きCPIがマイナスに逆戻りしない。*経済・物価の総合判断-の3つを条件としていた。1月のCPIが大幅上昇を記録し、解除条件が整ったと判断したようだ。
 政策委員の大半は、執行部による解除案に賛成する見通しだ。デフレ阻止を目的に2001年3月に導入された「異常な政策」(福井俊彦総裁)は使命を終え、日銀の金融政策は5年ぶりに金利政策に復帰する。
 しかし、来週の会合前に株価急落や円高の急進行など不測の事態が生じた場合、解除を4月に先送りする可能性も残されている。
 いまひとつ、政府・与党内のほか、日銀審議委員の一部にも慎重論が根強いため、来週の解除決定については流動的な要素も残されている。

■財務相・首相デフレ脱却と言えぬと慎重

 谷垣財務相は民放のテレビ番組で、日銀が量的緩和策の解除を目指していることについて「単なる表面の数字だけではなくて、全体の経済の流れも見ながら判断すると思う。政府としては予断を交えずに耳を傾けたい」と述べた。
 量的緩和解除後の金利や物価を安定させる新たな枠組みについては「日銀としてある程度展望を示しながら、市場に不安を与えない方法を考えると思う。私たちも注視している」と強い関心を示した。
 今の物価動向については「デフレ脱却には向かいつつあるが、まだ完全に脱却した訳ではないので、引き続き日銀と政府が協力しながらやらないとならない状況だ」と語り、日銀は解除時期を慎重に判断すべきとの従来の主張を繰り返した。
 また、首相官邸で記者団が緩和解除は適当かとの質問に小泉純一郎首相は、「どうかね。デフレ脱却の兆しは見えてきたようだが、まだデフレ脱却とは言えないんじゃないか」と指摘、早期の解除に疑問を呈した。

■住宅金融公庫・基準金利年3.41%に上げ

 住宅金融公庫は3日、公庫融資の基準金利を現行の年3.28%から3.41%に引き上げると発表した。7日の申し込み分から適用される。長期金利の上昇に伴う見直しで、2か月ぶりの引き上げとなる。
 2005年6月に、借り入れから11年目以降の金利を当初10年間より高く設定する「段階金利」を廃止してからは、最も高い金利水準となる。

■東京外為市場1ドル=116円挟み乱高下

 3日の東京外国為替市場の円相場は、同日午前発表された1月の全国消費者物価指数(CPI)を受けて日銀の金融政策をめぐる思惑が交錯し、1ドル=116円を挟んで乱高下した。値動きの幅は、1円10銭に達した。午後5時現在は、1ドル=116円25〜27銭と、前日比18銭の円安・ドル高。

■日経平均急落・長期金利1.690%に上昇

 週末3日の東京株式市場では、1月の消費者物価指数の上昇が早期の日銀金融政策の変更観測につながり、日経平均株価は急落した。終値は前日比246円42銭安の1万5663円34銭。
 東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も同19.28ポイント低下の1612.96と3日続落。出来高は17億3124万株、売買代金は2兆1918万株だった。

■個人国債金利最高の0.85%に解除観測で

 財務省は2日、春の個人向け国債(第14回債、変動金利型10年満期)の発行条件を発表した。発行後半年間の初回金利は、量的金融緩和政策の早期解除観測が市場に広がった影響で、年0.85%と前回債に比べ0.17ポイント上昇。2003年3月の第1回債発行以来、最高を更新した。

■日銀解除時特別文書で超低金利継続公表

 日本銀行は、約5年間続けている金融の量的緩和策を解除する際に、解除後も当面、超低金利を保つ方針を盛り込んだ特別文書を出す方向で調整に入った。
 解除時の声明では、金融調節の主たる操作目標を、約5年ぶりに、日銀当座預金残高という「量」から「短期金利」へと戻すことを示す。そのうえで、特別文書に「日本経済の物価上昇圧力は低いため、ゼロ金利を含む極めて低い短期金利の水準を当面継続することができる」との趣旨を盛り込み、日銀が政府とともに2006年中のデフレ脱却を確実にする姿勢を強調する。
 具体策としては、*日銀が民間金融機関から長期国債を買い入れて市場に資金を供給する長期国債の買い切りオペレーションは、月間1兆2000億円の現在の規模を当面維持する方針を盛り込む。*日銀当座預金残高は現状の「30兆〜35兆円程度」から6兆円程度にまで市場に混乱がないよう徐々に減額していく方針も示す。
 特別文書で、長期金利の上昇を抑えて、景気を刺激する効果が期待できるからと、国債の利払い費増大を懸念する財務省に配慮する狙いと。さらに、量的緩和策の解除は金融政策の大きな転換となるため、政策の狙いを詳しく説明して、解除後も金利や物価を安定させる効果を高めることになるなどを、理解させる狙いもある。

 

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